神木隆之介と広瀬すずが主演のドラマ「学校のカイダン」
広瀬すずが演じる生徒会長ツバメが、
神木隆之介が演じる謎のスピーチライター雫井の原稿を元に演説するというドラマ。
これを、プレゼンのプロが解説してみたいと思います。
第5話の舞台は学園祭。ツバメのクラスでは、マルシェとして野菜の販売と炊き出しを行います。
クラス全体が一体になって、取り組み始めます。
しかし、用意していたレンガのカマドが何者かに壊されてしまい、その責任についてツバメが問われます。
ツバメ以外の生徒は文化祭をボイコット。
手伝おうとする仲間も暴漢に襲われ、ツバメは一人教室に立てこもり文化祭の準備を行います。
とうとう、文化祭の前日となりました。そこでツバメはクラスの全員に語りかけます。
今回のスピーチは「背中を押す」プレゼン。自分の意思では動けない人を動かすプレゼンです。
モチベーションはもちろん、決断力がない人を突き動かす、リーダーシップをとるプレゼンです。
重要なポイントは、迷っている人の頭の中を整理してゴールに導くこと。
教室に立てこもっていたツバメはバリケードを撤去します。
「この不抜けども。入場を許可する。」
実はこのキーワードが重要です。決してへりくだっていません。ここで下から目線で話すと全てが崩壊します。
ちょっと上から目線気味ですが、堂々と話すことが、今回でもっとも重要なポイントです。
「参加したいのか、参加したくないのか。腹の中ではどう思っているのか?」
生徒を挑発します。生徒たちは帰ろうとしますが、そこでツバメはこう言います。
「だるまさんがころんだ!」
生徒たちは振り向きます。
「人の号令に動くことに慣れてしまっている。自分中心で動いてもいいのではないだろうか?」
ここまでは感情に訴えています。ここから、ロジックな内容に変わっていきます。
「自分にうそをつき続けている。人の期待を答えたい為にうそをついている。」
まず、聴き手の確信をつきます。確信をついたことで、一旦間が空き、聴く耳をもちます。
そこで、ツバメは自分の体験談を話します。
中学の時に自分もいじめを行っていた、一人で弁当を食べていた生徒を笑っていたと告白。
「その時のお弁当はおいしくなかった。しかし、一人で食べていた生徒のお弁当もおいしくない。
しかし、遠足の様に冷えたご飯がおいしいのはなぜだろう?それは自分が楽しいから。
人の為に笑うのではなく、自分の為に笑ってもいいのではないか?
誰かの笑顔の為に私たちは生まれてきたのではない。」
聴き手の考えていることは「自分だけ特別なことをするのは周りに合わせているから」というもの。
つまり、このロジックでは言えない心の声を代弁して、その先を明確にしているのです。
棒を持ち「これで先日の暴漢の仕返しができる。しかし、私の意志でそれは行わない。」
「私はこの棒でみんなが笑顔になることを行いたい。だから、みんなでマルシェをやろう。」
自分の意思を明確にしています。
そして、教室の境界線を棒で指して、こう言います。
「この境界線はボイコットをしたかどうかのものではない、自分の意思を示せるかどうか。」
「明日のマルシェに参加するかどうかを自分で決めて欲しい。」
ボイコットして云々を責めるのではなく、自分がどうしたいのかという問いに変えています。
こうすることで、過去の反省をクリアし、次の行動をフォーカスさせています。
「私はみんなと同じ釜の飯を食いたい。」
最後に、自分の言葉で意思を伝えます。
このプレゼンで注目することは
聴き手の腹の中を代弁する
これは、対極にある聴き手に自分の言葉を伝えるのに有効です。
よくある場面では、管理職が現場スタッフに声をかけるというもの。
「みなさん、私たちが現場を知らない連中と思っていますよね。」「きれいごとばかり言っている」
と、冒頭に話すことで否定的な聴き手も一旦耳を傾けます。
明らかにアウェイの場面でお話しすることに有効なテクニックです。