さて、前編では、反乱までを説明しました。
ここからは、いよいよ、皇子(中大兄皇子)の政治手腕が発揮されることになります。4つの法律を作って再発防止キャンペーンがスタートしたのです。
この法律の制定を大化の改新と呼ぶのです
反乱後、皇子は考えました。
「またこんなことにならない様に、バシッと言ってやる!」
まずは豪族の財産没収!(公地公民制)
この財産とは土地と市民のこと。
「豪族が土地や人を持ったらロクなことにならんから、没収!」
といったのかどうかはわかりませんが、これまで、代々受け継いでいた土地と住人は全て、天皇家のものとなりました。まさかの没収ですが、没収といっても、天皇家が独占するのではなく、みんなで使おうという意味です。じゃあ、どうやって使うの??それが次の法律です。
住人に土地を貸出!(班田収授の法)
これまで、使用人だった住人は豪族に働かされていました。身分は色々とあったのですが、豪族の土地ですから、儲けは豪族が持っていってしまいます。使用人といっても、ほとんど、奴隷です。現代のブラック企業ってものではありません。しかし、公地公民により、土地や人は天皇の物となりました。つまり、奴隷解放です。そして、その住人たちに土地を貸し出して、農作物を作れる様にしたのです。
実はこれって、中国の三国志で有名な曹操が行ったことでもあるのです。(曹操は破天荒なイメージもありますが、実は政治家として超一流なのです)
戸籍の作成
しかし、ここで1つ問題が発生します。
それは、住人のリストがありません。これでは、誰にどれだけを貸し与えているのかがわかりません。そこで戸籍と台帳を作って、わかる様にしたのです。つまり、市民のデータベース化です。マイナンバー制度の基礎は、なんとこの時代に作られたわけです。
さあ、大変です。当時は西暦なんてありません。ましてや、平成や昭和という元号もありません。当時の年号は推古天皇1年なんて表現。これでは、いったい自分の年齢がいくつかわかりません。日付の記載が必要です。そこで、初めて元号というものを作りました。
それが大化
でも、これだけでは天皇家は土地を貸すだけです。豪族からの寄付がなくなった今、どうやって生活するのかを考えないといけません。まさか、天皇が畑を耕すのか?というと、そういう訳にはいきません。皇子は考えました。
「中国でやっている税金という制度で年貢を納めさせよう」
税制度(租・庸・調)がスタート。
市民データベースがあるので、市民に決まった税を納めさせるようにしました。この仕組みで、豪族が横領することなく朝廷に税(農作物等)が入るようになりました。一般市民からは少し高く、奴隷からは安く。
奴隷といっても、この時代の奴隷とは、小作人という意味でその土地に住んでいる人を差すことが多い様です。その為、これまで別の豪族の管轄の小作人が結婚すると、どっちの奴隷(小作人)にするのかをもめたようです。働き手の確保ですからね。
また、税金対策で、わざわざ一般人から奴隷身分に嫁ぐということも会ったようですから、現代のイメージの奴隷とは、ちょっと意味が違うようですね。
この制度が現代の税金にも繋がっているのです。
公務員?の始まり
さて、身包みをはがされた豪族は何をしているのか?ちゃんと仕事を与えられています。管理する担当地域を決めた(国郡制度)そして、豪族に管理させました。公務員の発生です。今まで金と権威で幅を利かせていた豪族は、朝廷にて仕事をすることになります。こう書くと、「ざまーみろ」と思うかもしれませんが、全ての豪族が悪いわけではありません。マジメな豪族にはそれなりのポストを用意したのです。
しかし、あくまでも土地と住人は天皇の物です。支配者ではなく、管理者となりました。そりゃそうです。なんだかんだ言っても、地方を知っているのは豪族です。悪さしたのは、中央(朝廷)にいる一部の豪族。地方の豪族はこれまでどおりの仕事を行ってもらうに越したことはありません。今でいうところの地方分権でしょうか。地方豪族からすれば、いきなりの財産没収はびっくりしたでしょうけどね。
ただ、これだけでは、皇子は、心配でした。
尊敬する聖徳太子の憲法を少し変えてみたのです。
世襲反対!ダメ世襲!
大化の改新ではないのですが、追加した政策が色々とあります。その中でも大きいのが・・・
世襲制度の禁止!!そう、○○家が代々大臣をするという制度を廃止し、天皇が任命することになりました。
つまり
「親は親、子どもは子ども。決めるのは天皇!」です。
今回の騒動は蘇我ファミリーが代々役職を担っていた為に起こったことです。これからは2代目でも天皇が任命しないと、就任できなくなりました。もちろん、その血筋でないと出来ないことがあります。中臣家の様に神官家計はその血筋が必要です。そういうところも考慮していこうとなりました。
そういう場合でも、天皇が任命するというチェック機能があるので、幅を利かせることが出来ないのです。といっても、残念ながら中臣家から分かれた藤原家はその後の歴史において、血筋でブイブイいわせてしますのですが・・・・。
そして、時代を変える決断を行います。
古墳のコンパクト化!!
家族葬といいますか、お葬式をコンパクトにする動きがありました。古墳というのは、豪族が天皇家に自分の土地や住人を使って作成していました。いわば、最大の寄付です。しかし、公地公民等で、豪族は財産がありませんから、朝廷で用意しないといけません。
でも、税金の制度が出来たので、あまり莫大な資金を掛けることが出来なくなりました。
その為、作成期間の短縮などの規制を強くして、生産に回すようにしたのです。
また、あの世のお供の殉職を禁止しました。だって、働き手が減ると、税も減るのですから。
これにより、古墳時代が実質終わりとなりました。
まとめ
大化の改新の目的は天皇家が豪族からの寄付に頼らない政治システムと経済システムを作ること。その結果、古墳という最大の寄付も廃止するという、思い切った歴史転換の節目になった。