学校のカイダンから学ぶ①

kakkounokaidan

神木隆之介と広瀬すずが主演のドラマ「学校のカイダン

広瀬すずが演じる生徒会長ツバメが、

神木隆之介が演じる謎のスピーチライター雫井の原稿を元に演説するというドラマ。

これを、プレゼンのプロが解説してみたいと思います。


ドラマの演出的なものもありますが、非常に見ごたえのあるスピーチ。

第一話では、転校してきたツバメが生徒会長を押し付けられます。

実はこれは、全校を掌握しているいじめっ子グループの策略。

その中、クラスメートであり、副会長の油森が虐められている現場を目撃します。

彼は課外授業で起こったトラブルを押し付けられ、退学届けを提出します。

何事も無かったように受理する教師。生徒会長の所信表明の場にて行ったスピーチです。


今回のプレゼンの目的は説得です。

説得のプレゼンに必要なコトのひとつに事実があります。

いきなりの罵倒。会場は聞く耳なんて持っていません。ツバメは、マイクを投げ捨てて、拡声器に持ち替えます。

実は拡声器は、雑に音を出す反面、生の声がそのまま大きくなるので、効果的。
(本当は聞きづらいのでデメリットが大きいのですが)

私は油森が嫌いである。すべて彼に押し付ければいい。

意外な切り口です。聴き手が想定したのは「いじめをやめよう」というものでしょうから、

ここで、いきなり反対のことを話します。否が応でも話し手に注目しますね。

スピーチの背景を語るにおいて、冒頭で注目を得るのは非常に効果的な手法です。

彼がいなくなったら次はだれでしょう?

ここで、他人事だったものを聴き手自身の危機感に置き換えます。

耳を傾けていたものが、さらに興味を持たせます。

疑問を投げかける事で参加者の心の中に自身の解答が生まれます。

教師の非を共有し、覚悟(退学届け)を見せつけます。

ここで動画が配信されます。

ここは動画が良いのではなく、「事実」を突きつけているわけです。

言葉でいくら話しても、意見とされますが、動画は事実。

このこと自体を否定することはできません。これは、学校に向けて見せている訳です。

つまり、キーパーソンは校長(教師)

いじめっ子グループが扇動する罵倒の中、こう言います。(かなり端折ってます)

誰も悪くない、私も同じ。みんな、合わせていただけ。

私もそうだった、毎日が怖かった。毎日お祈りして何事の無いように願っていた。

私も一緒になっていじめていたのだから、自分が大嫌い。

いじめる方も、いじめられる方も、訳もわからなく我慢している。

そんなのは私は嫌だ。

だから、私は学校を変えたい。

ここは雫井は何も指示していません。こういうことを言うだろうと想定したのでしょう。

誰が悪いと特定せずに、聴き手に暗に解いていますね。

生徒は反発します。しかし、校長は退学届けを破り捨てます。

キーパーソンは校長ですから、このスピーチは成功したのです。

生徒が何を言おうが、目標は達成されました。彼らの勝ちです。


さて、雫井のやった事とは・・・・。

ツバメの行うだろうスピーチに対して、

①背景を明確にする(聴く耳を持たせる)

②事実を明確にする(反論をさせない)

③覚悟を明確にする(言葉に重みを持たせる)

これを加えることで強固なフレームを作り上げ、

その上で、自分の意見を出して共感を得るという、感情に訴えるプレゼンテーションだったという訳です。

原稿を書くだけがスピーチライターではありません。

スピーカーの弱点を補うのもスピーチライターです。

良いスピーチでしたね。

もちろん、悪い部分もありますが、それを補ういいところが満載でした。

1週間は公式サイトから番組丸ごと見る事ができますから、ぜひ、ご覧ください。

http://www.ntv.co.jp/kaidan/

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